精神科病院、生まれ故郷である香川県の高齢者デイサービスでの勤務を経て、環境を変えるために上京し、ベネッセへ。ご入居者様の生活に密着した今のホームは、作業療法士としての力を発揮するのに最適な場所。

身体と心を支えて、
穏やかな毎日をともに。


これまでの職歴を
教えてください。
大学を卒業後、最初は精神科病院に就職しました。大学の実習で興味をもったことがきっかけです。長期入院の方が多い環境の中で、その方々に生きがいや楽しみを提供することを心がけてきました。
自宅やグループホームへの退院を目指すサポートでは、薬の飲み忘れを防ぐ服薬ボックスを一緒に作ったり、料理の練習をしたりしました。看護師や薬剤師とも協力しながら、その方に合った方法を考える仕事は、とても充実していました。
もともと高齢者医療に携わりたいという希望が強かったので、故郷の香川に戻って、高齢者デイサービスに転職しました。高齢者の方々とお話するのが大好きなので、人生の先輩からさまざまなお話を伺えるのはとても楽しかったです。ただ、施設の方針が変わり、リハビリがあまり重視されない方向になってきたので、そこで一つの区切りをつけることにしました。

関東に拠点を移し、
ベネッセに転職したのは
なぜですか?
以前から関東に住んでいた兄に「こっちで働いてみないか?」と誘われたのがきっかけです。両親からもずっと田舎にいる必要はないと、背中を押してもらいました。転職エージェントには、関東の高齢者施設で働きたいと希望を伝えました。
多かったのは訪問リハビリの求人で、担当者からも熱心に勧められましたが、私は施設での勤務を希望しました。高齢者の生活に密着しながら、ずっと一緒に関われる環境で働きたいという思いが強かったからです。
常勤の作業療法士としては
1人の職場です。
心細さはありませんか?
寂しいとか、心細いといったことはまったく感じません。ひとえに、ホーム長を中心としたチームワークのよさがあるからだと思います。それを裏付けるように、ホームではカンファレンスが活発に行われています。ケアマネジャーを中心に、ホーム長と副ホーム長、看護職員や介護スタッフ、そして作業療法士である私が集まって、毎月ご入居者様について話し合います。
ご入居者様の転倒が起きたときなども、部屋のレイアウトや福祉用具の使い方を工夫して、再発防止のアイデアを徹底的に出し合います。テーマはただ一つ、「どうしたらその方らしく過ごせるか」。全員が同じ方向を向いて考えていることへの喜びとやりがいを感じますね。

高齢者医療に関われるのは
理想的な環境。

これまでの職場との違いや
戸惑いはありましたか?
介護スタッフと連携をとる中での気づきはありましたね。たとえば、私から明確な指示をしなかったがために、自力で寝返りが打てない方への体位変換が適切ではなかったことがありました。また、サポートが不十分だったことで、ご入居者様を転倒させてしまったケースに遭遇したこともあります。これらの出来事は、介護スタッフの責任ではなく、私の「当然知っているだろう」という思い込みが原因でした。
この反省を踏まえ、介護スタッフがサポートする現場を、より注意深く観察するように努め、不明点がないかを積極的に確認するようにしました。お手本となるポジショニングの写真を撮って、注意してほしい点を貼り出すなど、伝達もれが起こらないような工夫をしています。
ここで働く喜びを
もっとも強く感じたのは
どんなときでしたか?
「ここに来てよかった」とご入居者様やご家族様に言っていただけることが一番うれしいですね。住み慣れた自宅で暮らしたい、という思いがあるなかで、「ここを選んでよかった」と感じていただくことは、そう簡単ではないと思いますので、心からうれしい気持ちになります。
印象に残っているのは、車椅子でご入居された方のことです。最初は気持ちも沈みがちな状態でしたが、週5回、1日30分の集中リハビリを行ったことで、杖なしでも歩けるほどに回復したんです。ふさぎ込むような様子は消えて、お部屋からも絶対出てきてくださるし、リハビリ以外のアクティビティにも積極的に参加してくださるようになりました。
この集中リハビリを継続することで、私たちリハビリに関わるスタッフとの関係が深まっていくのも感じました。車椅子を離れて歩けるようになった際には、「あなたのおかげ」とのお言葉をいただき、ご家族様からは「この数年でこれほど明るい表情は見たことがない」と驚きと喜びの声もいただきました。
このようなうれしいお言葉をいただけるのも、私一人の力ではなく、スタッフみんなで支えることができているからだと思います。私たちの働きかけ一つで、ご入居者様の生活は少しずつ変わります。そのなかで、その方らしい笑顔を見ることができたときに一番の喜びを感じます。
入職を検討している方に
向けての
メッセージをお願いします。
私は、このホームの雰囲気がとても気に入っています。ベネッセの理念である「その方らしさに、深く寄りそう」ことに、スタッフみんながこだわっているからです。その方を知るために、過去にさかのぼってご家族様からお話を丁寧に伺ったり、その方との対話のなかで、ぽろっと仰ったことを試してみたり。スタッフみんなで、できるだけご入居者様が喜んでくださるような空間、時間を整えていきたいと日々工夫しています。
そんなベネッセの理念に共感し、常にご入居者様のために何ができるかを考え続け、細かな変化を見逃さず、フラットな気持ちで観察し続けられる仲間が増えたらうれしいです。ご入居者様一人ひとりに寄りそいながら働きたいという方には、きっとこの環境がぴったりだと思います。
