介護分野の看護を
動向から知る
需要が高まる介護分野での
看護職
高齢化社会が進み、介護を必要とする高齢者が増加している中で、介護分野における看護職の必要性は高まっています。日本看護協会の調査によると、全国で働く看護職のうち、老人健康施設、特別養護老人ホーム、社会福祉施設、居宅サービスなどの介護・在宅分野で就業されている方は、全体の約15％。決して多い数字ではないながらも、その比率は年々高まっています。病院での看護とはアプローチが異なり、また幅広い経験が活かせる介護分野において、看護職が活躍できるフィールドが広がってきています。
介護分野で広がる
看護職の活躍の場
分野別就業者比率（全体）
- 病院
- 診療所
- 介護分野
- その他
厚生労働省「平成28年衛生行政報告例（就業医療関係者）の概況」より看護師・准看護師の数にて集計
施設別企業人数の推移
厚生労働省「衛生行政報告例（就業医療関係者）の概況」より抜粋
看護職として働いている方々のうち、80%以上の方が医療機関（病院もしくは診療所）で就業しています。依然として医療機関で就業される看護職が多い状況ではあるものの、介護分野での就業者数はここ10年間で60%以上もの伸びを見せています。
また、全国に約800万人いるとされる団塊の世代の多くが2025年に75歳を迎え、国民の約4人に1人が75歳（後期高齢者）となります。超高齢化社会の波もあり、一層介護分野での看護職のニーズは高まっていくと予想されます。
看護職が活躍できる
介護のフィールド
施設系
特別養護老人ホーム（特養）
65歳以上の要介護者認定を受けている方が入所する施設です。施設サービス計画に基づき、食事・入浴・排泄などの介護や日常生活上のお世話・健康管理などをおこないます。医療機関ではないので、病気やケガで治療が必要な方は入所できません。その他の施設に比べると比較的介護度の高い方が多いのが特徴です。
介護老人保健施設（老健）
要介護認定を受けた方のうち、病状が安定している方が在宅への復帰を目指しリハビリをおこなう施設です。在宅生活を営めるよう、医師の管理の下、介護やリハビリがおこなわれます。栄養管理や入浴などの生活支援も提供されます。医師をはじめとして、理学療法士などの専門スタッフが常駐しており、夜間体制も整えているのが特徴です。
有料老人ホーム
高齢者の暮らしを重視した住まいで、必要に応じて介護サービスを提供します。ひとり暮らしに不安のある方から、医療依存度の高い方まで、入居者の層が幅広い施設です。民間企業が運営する施設が多いため、他の施設に比べ、サービスの内容に特色があります。医師は常駐していない事が多く、訪問診療との連携体制が築かれています。
小規模多機能
介護が必要となった高齢者が、住み慣れた家や近隣地域で生活できるように作られた在宅介護施設です。利用者の状態にあわせて通所を中心として、宿泊・訪問のサービスが選べます。住み慣れた地域であるという安心感と小規模ならではの家庭的な雰囲気が特徴です。地域ケア・コミュニティの拠点としても、現在注目されています。
通所系
通所介護（デイサービス）
比較的介護度の低い方が、ADL・QOL向上を目的として、自宅から通う介護施設です。施設では、食事や入浴などの日常生活上の支援や生活機能向上のための機能訓練、口腔ケア等のサービスを日帰りで提供します。 グループ活動を含め、施設内での高齢者同士の交流もあります。利用者の自宅から施設までの送迎も施設側が対応します。
施設系
訪問介護
病気や障害を持った方が、住み慣れた地域や家庭で療養生活を送れるよう、看護職が訪問して自立への援助・療養生活支援をおこないます。在宅で安心して療養生活が送れるよう、24時間365日体制のステーションも多いです。医師や関係機関と連携をとり、あらゆる在宅サービスの調整を提案するのも重要な役目です。
訪問入浴
看護職および介護職員が移動入浴車でご自宅を訪問します。寝たきりの方や障害のある方でも入浴できるよう、専用の浴槽をもちこみ、室内で入浴介助をおこないます。看護職が入浴前後のバイタルチェックをおこなう他、胃ろうや留置カテーテル管理などもおこなうため、日々の定期的な身体状況の把握にも貢献しています。
超高齢社会を迎えた今、介護サービスも多様化しており、上記以外にも看護職として活躍できるフィールドは増えています。医療分野だけでなく、介護分野においても老年看護や在宅看護、地域看護を実践できる職場が増えてきたと言えるでしょう。
